天の川は夏、しかも7月7日の七夕にしか見えないと思われがちですが、春以外は見えてい ます。春の天の川は南半球でしか見ることができません。 天の川が夏よく見えるのは、天の川の明るく濃い中心方向が見えているので、夏というイメ ージが強いと思われます。 天の川は、銀河系を横から見ている姿です。銀河系とは、私たちが住む地球や太陽・星座の 星々など、夜空に見えるほとんどの星が宇宙空間に一箇所に集まり、巨大な渦を巻く天体の ことで、「銀河系」や「天の川銀河」などと呼ばれ、大型の棒状多腕銀河に分類されていま す。 銀河は宇宙にはたくさん存在し、大小・多種多様な形があります。「系外銀河」や「小宇宙」 といい、宇宙には1000億個の銀河があるといわれ、その中の一つが私たちの住む銀河です。 天の川銀河は直径10万光年、星の数は約2000億個もあるという大きな銀河です。 その中心から約3万光年離れた場所に太陽系があるといわれています。夏の夜空の方向が 中心方向ですので、非常に濃い部分の天の川が見えているのに対して、冬は端の薄い天の川 を見ていることになります。 天の川を見るには、5〜6等星が見える視界の広い場所がおすすめです。夏ならば、真南 から北の方角に夏の大三角(こと座のベガ・わし座のアルタイル・はくちょう座のデネブ) の中を通って北東の方角へ続いています。 白く薄い雲のようなものが細長く見え、真ん中に黒い筋が通っていて、ホットドックのよう にも見えます。 |
天の川銀河は、蚊取り線香のような形をしています。 |
M101は真上から見た渦巻 き銀河で、中心にバルジと呼ば れる明るく膨れた部分から、た くさんの腕が渦を描きながら取 り巻いている。 |
||
蚊取り線香を真上から見たイメージ | M101銀河(おおぐま座) | |
NGC7331は斜めから見た 渦巻き銀河です。中心のバルジ からたくさんの腕が渦を描いて いますが、すき間に黒い筋が見 えています。これは腕にある暗 黒星雲が見えています。 |
||
蚊取り線香を斜めから見たイメージ | NGC7331(ペガスス座) | |
NGC4565は真横から見た 渦巻き銀河の姿です。中心の バルジが膨らんでいる様子が よく分ります。腕の中にはもく もくと暗黒星雲があるのが分り ます。 これが天の川の正体です。 |
||
蚊取り線香を真横から見たイメージ | NGC4565(かみのけ座) |
奈良県で撮影した天の川 | NGC4565のアップ |
上の写真は左が天の川、右がNGC4565です。天の川は下が南になり、 膨らんでいるのがわかります。NGC4565も中心が膨らんでいて、天の川 と同じ構図にしています。 中央を通る黒い筋は暗黒星雲です。どちらにもあるのがわかります。 このように比べると、天の川も銀河を横から見ている姿だということが分り ます。 遠く離れたところから天の川銀河を見ることができれば、M101のように 渦を巻く巨大銀河の姿を見ることができるでしょう。人類は遠い未来にその 姿を見ることができるのでしょうか? |