アルゴ船座 Argo Navis  見やすい季節 冬


 アルゴ船座の星座絵

 ステラナビゲータVer.10/(株)アストロアーツ
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 アルゴ船座の星座境界線+明るい星雲星団

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  アルゴ船座の見つけ方

  アルゴ船座は

 ぜひのよく晴れた夜に探してみてください。


  アルゴ船座の神話(諸説あり)

  アルゴ船座は、アルゴ船が星座になったアルゴ船座が余りにも大きかったので、1756年にフランスの天文学者ニコラ・ルイ・ド・ラカーユによって

 りゅうこつ座・とも座・ほ座の3つに分割した後、新たにらしんばん座も設定しました。

 アルゴ船の神話は、おひつじ座の神話以降のお話です。(おひつじ座の神話参照)

 イオルコス(ギリシャのボロス地方)の王アイソンにはイアソンという息子がおりましたが、幼い息子を残して死んでしまいます。そこで、叔父でポセイ

 ドンの息子ペリアスが王位を継承して、幼いイアソンはケンタウロスの賢者ケイロン(いて座)に預けられました。

 成長したイアソンは国に戻って、叔父に王位を譲り渡すようにいうため、ペリアスの元へ行きました。訪ねてきた若者がイアソンとは気付かず、片方の

 サンダルしか履いていないのに気が付き、以前ペリアスは神託により、片足だけサンダルを履いた者に王位を奪われると予言を受けていました。

 王位を奪われたくないペリアスは、若者に黒海の果てにあるコルキス(グルジア国)の伝説の黄金の羊の毛皮を取って持って帰ることを条件にしました。

 イアソンはアタマス王と王妃ネフェレの息子プリクソスの子供で船大工のアルゴスに建造を依頼したことから、アルゴ船(アルゴとは快速という意味)と

 命名されました。

 この冒険に参加する探検隊員を募集したところ、50人の勇士が集まりました。この勇士達をアルゴナウタイと呼び、中でも英雄ヘラクレス(ヘラクレス座)

 カストルとポリュデウケス(ふたご座)、オルフェウス(オルフェウスの琴がこと座)、アキレスの父ペレウス(ペレウスの結婚式がきっかけでトロイア

 戦争勃発)、リュンケウス(50人の兄弟のただ1人の生き残り)(ふたご座神話参照)の名もありました。

 アルゴ船の勇士アルゴタウナイは、女神アテナの祝福を受けてパガセ湾を出航し、オルフェウスが竪琴を奏でながらエーゲ海に出ました。


 アルゴ船はエーゲ海のギリシャ沿岸を北上し、イアソンの師であるケンタウロス族のケイロンに会いにペリオン山(1,610m)へ向かいました。イアソン

 はケイロンに冒険に出ることを伝え、船員のペレウスは息子アキレウスをケイロンに託し、冒険の始まりです。


 エーゲ海に浮かぶリムノス島に立ち寄り、驚いたことにこの島には女性しかいませんでした。島の女性たちは美の女神アフロディーテを崇拝しなかったた

 め、女神の呪いで身体から悪臭を発するようにされてしました。男達は妻と寝ることを拒み、捕虜のトラキア人(ブルガリアとトルコの国境付近)女性に

 気を取られるようになったため、怒った妻たちが男達を皆殺しにしてしまったのです。

 このとき、トアース王の娘ヒュプシピュレは、父親を船に隠して逃がし、ヒュプシピュレはリムノス島の女王になりました。リムノス島はその昔に鍛冶の

 神ヘパイトスが醜いからと、母ヘーラによって天から落とされた島とされ、地母神キュベレーを崇拝していました。

 アルゴ船の勇士たちは歓迎を受け、アルゴタウナイと島の女性達の間にミニュアス人が誕生しました。イアソンとヒュプシピュレの間にもエウネオスとネ

 プロポノスというの2人の子供を儲けました。しかし、ヒュプシピュレは父を逃がしたことが島の女達にばれて、奴隷としてネメア王リュクールゴスに売

 られてしまいます。


 アルゴ船は黒海へと続くマルマラ海を通過中、風に流されて小アジアのドリオニアの国キュージコス王の元に立ち寄り、キュージコス王はメロプスの娘ク

 レイテとの新婚ほやほやで上機嫌でしたので、突然の来客を大いに歓迎しました。

 そして、心良くしたアルゴタウナイは夜になって出航したのですが、大地の女神レア(ゼウスの母)の力で知らぬ間に風が逆風になり、アルゴ船は見知ら

 ぬ島へと流されていきました。ドリオニアの人々は、夜更けに船が近づいて来るので、敵国のペラスゴイ人が攻めてきたと思い込み攻撃をしかけたので、

 アルゴタウナイ達は突然襲ってきた島民との戦いになりました。夜が明けて、戦っていたのは先ほど歓迎を受けたドリオニアの人々で、キュージコス王を

 殺してしまっていました。アルゴタウナイ達は深く嘆き、最大のお詫びとされる頭髪を切って、王を手厚く葬りましたが、悲しみに耐え切れずに新妻クレ

 イテは自害してしまいます。

 とその時、岬に住む大人しかった腕が6本もある巨人達が突然暴れだし、港に停泊してあるアルゴ船には、ヘラクレスが1人で留守番をしていたところへ

 向かって石を投げ始めてきました。驚いたヘラクレスは応戦したのですが劣勢で、そこへアルゴタウナイが駆けつけて勝利しました。

 その後、何日も暴風で出航できず、アルゴタウナイの1人モプソスは、父アポロンから鳥の声が聞ける力を授かり、カワセミからキュージコス王は過去に

 女神レアの聖獣であるライオンを殺していたのと、アルゴタウナイが巨人を殺したのにレアが怒っていると告げました。アルゴタウナイはディンデュモン

 山々頂に女神像を建て祭ると、嵐がやみ順風が吹いて出航できるようになりました。


 アルゴ船がキオス河の河口近くでミュシアに上陸した時に、ヘラクレスは従者ヒュラスを連れて森へ木を伐りに行きました。ヒュラスはドリュオプス人の

 父テイオダマスとオリオンの娘メノディケの子供でしたが、テイオダマスが非道であったためにヘラクレスがテイオダマスを殺し、幼いヒュラスを救い出

 して、ヘラクレスが従者として育て、美少年に成長してヘラクレスの弓持ちを勤めていました。

 ヘラクレスはヒュラスに泉で水を汲んでくるように言います。しかし、泉ではニュンペ(精霊)達がアルテミスを祭るために水面まで上がってきており、

 水を汲もうとしているヒュラスを見つけ、余りにも美しいヒュラスに一目惚れして、ヒュラスの手を取り泉に引き込もうとしました。ヒュラスは大声で助

 けを呼びましたが、泉の中へ連れていかれてしまい、声を聞いたポリュペモスと共にヘラクレスが辺りを探しましたが、見つけることができませんでした。

 そのころ、アルゴ船はヘラクレス達がいないのに気付かずに出航してしまいます。ヘラクレスは3度大声でヒュラスの名を叫んだら、ヒュラスも3度水底

 から叫びましたが、山彦のように木霊するだけで発見できませんでした。ヘラクレスはポリュペモスに引き続きヒュラスを探すように頼み、ヘラクレスは

 徒歩でアルゴ船に合流しました。ヒュラスは水底でニュンペの夫となり、ポリュペモスは結局ヒュラスを発見できず、後にこの地にキオス市を創建しまし

 た。ヒュラスは木霊となり、山彦になると言われています。


 アルゴ船は黒海の入り口、ボスポラス海峡の岬にあるベブリュクス人の国へ立ち寄りました。国王アミュコスはポセイドンの息子で、格闘を得意とする

 巨人であった。訪れる者を無理やり格闘に参加させて撲殺していました。アルゴタウナイ達も格闘を強要されて、ポリュデウケスが戦う事になりました。

 ポリュデウケスもゼウスの息子で、格闘の名手です。激戦の末、ポリュデウケスが勝利してアミュコスを殺してしまいます。この結果に怒ったベブリュク

 ス人達が、アルゴタウナイ達に武器を持って襲ってきて大乱闘になり、たくさんのベブリュクス人が死にました。アルゴタウナイ達は奪った家畜や酒で宴

 を上げました。


 アルゴ船は、その先にあるシュムプレーガデス岩は、1隻たりとも通った事のない海の難所で、そこを通らないといけいけませんでした。そこで、テュニ

 ア半島にいるピネウスはポセイドンの息子で、ハデスにさらわれたペルセポネを探してこの地に住んでいた予言者で、航海の助言を教えてもらいに寄りま

 した。しかし、ピネウスはアポロンにより予言の力を授かったが、多様に人の未来を予言したためアポロンに盲目にされ、食事を用意しても顔から胸まで

 が女性、翼と下半身が鳥の怪物ハルピュイア(ハーピー)が空から舞い降りて横取りし、食べ残した物は悪臭がして食べれない状況でした。衰弱しきった

 ピネウスはアルゴタウナイに助けて欲しいと願いました。ピネウスに食事を用意させて、アルゴタウナイは隠れて待ち構えていました。すると、怪音な鳴

 き声と共に現れた2羽のハルピュイアが食卓を荒らし始めました。一斉に飛び掛ったアルゴタウナイ達でしたが、武器の届かない上空にすばやく逃げられ

 てしまいました。しかし、アルゴタウナイの勇者の中にいた翼のあるゼテスとカライスが追いかけました。驚いたハルピュイア達は慌てて逃げましたが、

 追いかけたゼテスとカライスが武装していたので、重くて中々追いつけません。しかし、ハルピュイア達も疲れてきてやっと捕まえることができました。

 捕まえたハルピュイア達は命乞いをするが殺そうとしました。が、ハルピュイアの姉で虹の女神イリスの仲裁により、二度とピネウスに近づかないと約束

 させて逃がすことにしました。

 1羽を捕まえた場所は、ペロポネソス半島のディグレース河辺りでハルピュースと呼ばれ、もう1羽はイオニア海のエキナデス諸島の島でストロパデス島

 (回転)と呼ばれるようになりました。

 そして、やっと食事ができて元気になったピネウスは、シュムプレーガデス岩を通過する方法を占った。すると、シュムプレーガデス岩の前で鳩を放ち、

 その鳩が通過した後に続き通過しなさいと伝えました。海に浮いた巨大な岩で岩上は雲で霞み、轟音と共に激しくぶつかって通過する船を粉々に砕き、船

 の残骸がたくさんあるシュムプレーガデス岩の前までアルゴ船は慎重に来ました。言われた通りポセイドンの息子エウペモスが鳩を放しました。鳩は岩の

 間を通り抜けようとした時、岩が鳩を挟もうと迫って来て、鳩は尾羽の先を挟まれたが、無事に通過することができました。岩が元に戻ろうと開き始めた

 のを見て、アルゴ船は勢いつけて進みました。アテナによる追い風もあり、急加速して通過しようとした時、シュムプレーガデス岩が迫って来ました。し

 かし、梶の先を岩に挟まれてしまったのですが、船はなんとか無事でした。

 シュムプレーガデス岩が1隻でも船を通すと動かなくなるように定められていたので、シュムプレーガデス岩は永久に動かなくなり、イスタンブールのボ

 スポラス海峡となったそうです。(ボスポラルとは牡牛の渡渉という意味で、水星の神話参照)


 無事黒海に入ったアルゴ船は、小アジアのマリアンディノース人の国リュコス王が治める港に寄港しました。しかし、港は殺気立っていて、人々に事情を

 尋ねると、以前ヘラクレスの協力によって敵国ベブリュクス人の王ミュグドーンを殺し、土地を奪ってリュコス王に与えていましたが、ヘラクレスが去っ

 た後アミュコス王として攻められ、マリアンディノースの土地を奪われていたのです。そして再び、ポリュデウケスがアミュコス王との格闘大会で討ち取

 ったことを知り、攻め入る準備をしていたところだったのです。

 リュコス王は国でアルゴタウナイ達を盛大にもてなしました。しかし、アルゴタウナイの予言者イドモンは、自分の死を予言していたが公表せず、宴の最

 中に馬草を刈っている時、猪に突き殺されてしまいます。イドモンを埋葬している時に、操舵士ティピュスも病気で急死してしまいます。そして、操舵士

 ティピュスの代わりにアンカイオスが梶を取り、東へ向けて出航しました。

 テュニアス島付近でアポロンを崇拝するヒュペルボレイオス人のところへ急ぎ、海の上を走るアポロンに出会いました。祈りを捧げるとアポロンは狩りの

 祝福を与え、豊漁に恵まれて神に捧げました。


 テルモードーン河岸まで来たアルゴタウナイはアマゾーンとの戦いに戦死した戦友のお墓を訪れた。そして、アマゾーンに見つかることなくゼウスの加護

 で順風の風を受けて、出航しました。アマゾーンの戦いは、ヘラクレスの12の功業9番目(ヘルクレス座の神話)を参照。


 コルキスへ向かう途中カリュベス国に寄り、街全体が煙に包まれているのに驚き、戦いの神アレスのために武器を作り続けている民で、武器を通貨に生活

 していました。

 ティバレノイ国は女性が出産するときに男性がベットで寝るとか、モッシュノイコイ国は見られたくない事を外でして、普通の事を隠れてするという不思

 議な国を通り、旅をしました。

 もう少しでコルキスという時に、怪鳥がアルゴ船に向かって尖った羽で攻撃してきました。尖った羽はオイレウスの肩に刺さり、その羽を見て以前ヘラク

 レスの12の功業で退治し追いやった、ステュンパーロス湖の怪鳥ステュンパーリデスでした。ステュンパーリデスは人間をも食べる猛鳥で、アレス島に

 棲みついており、その飛んできた方向にアレス島があると思い、アルゴ船を走らせました。無数のステュンパーリデスがいる島を見つけ、武器で追い払っ

 て上陸し、目的地まであと少しのところまで来ました。(ヘルクレス座の神話ヘラクレスの12の功業6番目参照)


 アレス島から丸1日かけて船を走らせると、目の前に5000m級の山々が連なるコーカサス山脈が見えてきました。アルゴ船は夜を待ち、パシス河から帆

 たたみ手漕ぎで首都キタイアへ向かいました。キタイアの近くまで来ると、見つからないようにアルゴ船を隠しました。朝になり、イアソンはゼウスの孫

 テラモンとヘリオスの息子アウゲイアスを連れて、アイエテス王の宮殿へ向かいました。しかし、キタイアの町は迷路のような道で、さらに深い霧に包ま

 れていましたが、ゼウスの正妻ヘーラが通り道だけ霧を無くしてくれました。その道を進むと宮殿にたどり着くことができました。

 到着したイアソンは事情を説明して、金羊毛も譲ってくれるようにお願いしました。イアソンはアイエテス王の養子プリクソスの息子で、プリクソスがア

 イエテスに金羊毛を譲渡したこともあり、断る事もできないが、手放すのも嫌だったので、2つの条件を出しました。

 その1つは、軍神アレスから譲り受けた、鼻から火を噴き青銅の足を持つ牛2頭をつないで畑を耕し、アイエテス王の持つ竜の歯を畑に蒔くこと。2つ目は

 蒔いた後から出てくる怪物戦士達と戦うこと。イアソンは「もし、戦わなければ」と訪ねると、コウカサスの軍勢と戦うことになると言われ、悩みました。

 そこで、正妻ヘーラが美の女神アフロディーテの息子エロス(キューピッド)に頼みました。アイエテス王の娘メディアに恋の矢を射て、イアソンに恋を

 するようにと。そして王女メディアは、イアソンに恋をしてしまいました。メディアは魔法が使え、夜になるとイアソンの元へ行き、私の力で助けてあげ

 ると言いました。イアソンに魔法の香油を渡し、朝にパシス河で身を清め身体と武装品に香油を塗るように言いました。

 この香油は、力がみなぎり火にも耐えれるようになる薬でした。また、その蒔いた後に出てくる怪物戦士達の対処法は、大きな石を怪物達の真ん中に投げ 

 込むと、怪物同士が戦い始めるので、後ろから戦えばいいと伝えました。

 次の日、王に試練を受けると伝えると、高原にて牛小屋から獰猛な牛が出てきました。牛と格闘しながら2頭をクビキで繋ぐと、とたんに大人しくなり、

 1日がかりで畑を耕しました。早速、竜の歯を巻くと、怪物戦士達が出てきました。すぐに大きな石を真ん中に投げると怪物同士が戦い始め、数が減った

 ところで全滅さることに成功しました。

 イアソンがアイエテス王に約束を果たしたので、金羊毛を渡してくれるように言いました。しかし、渡したくないアイエテス王は、功績をたたえながら時

 間を延ばすために「今日は遅いから、話は明日にしよう」と言いました。

 アイエテス王は、娘のメディアの裏切りを知り、夜の内にイアソンを殺し、アルゴ船を壊そうと企みました。そのことを知ったメディアはイアソンの元へ

 行き、「私の裏切りが父にばれました。しかもあなたを殺し、アルゴ船も壊そうとしています。もうここには居られないので、金羊毛を私の力で取れるよ

 うにしますので、私を妻にしてください」と言いました。イアソンは喜んで答え、コウカサス軍が攻めてくる前に、金羊毛を取りに行くことにしました。

 イアソンとメディアは森へ、残りの船員は出発準備に大忙し。森を進むと、きらきらと輝く金の羊毛の近くに、トグロを巻く巨大な眠らない竜が口から火

 を噴いて、金羊毛を守っています。恐れずに進むメディアは、媚薬を振り撒きながら近づきました。媚薬に包まれた空気により、竜は眠ってしまいました。

 メディアは「今のうちに金羊毛を取って」と叫びました。木によじ登り、金羊毛を取ったイアソン達は急いで逃げ出しました。

 船に戻った2人を乗せ、アルゴ船は出航しましたが、それを知ったアイエテス王は、軍勢を牽いて追いかけました。しかしアルゴ船は正妻ヘーラの追い風

 を受け、あっという間に見えなくなりました。

 アルゴ船がダニューブ河口(ドナウ河)付近まで来たときに、メディアの義弟のアプシュルトス率いる船団が待ち構えており、取り囲まれてしまいました。

 数で勝てないと思い、メディアを引き渡そうと思ったときに、メディアは激怒します。そして恐ろしい計画をイアソンに告げます。魔法でイアソンとメデ

 ィアの偽者をアプシュルトスの元へ送りました。そしてメディアの偽者はアプシュルトスを殺し、体をばらばらにして海に投げ込みました。

 驚いたアプシュルトスの軍勢は、海に投げ込まれたアプシュルトスの体を必死に集めていました。その隙にアルゴ船は逃げ出しました。アルゴ船はダニュ

 ーブ河を上り、アドリア海(イタリア東部の海)に出て、イオニア海(イタリア南部の海)へ行くことにしました。しかし、イオニア海には軍勢が待ち構

 えていたので、アドリア海からポー川(イタリア東部)を上り、ローヌ川(フランス南部マルセイユ付近)を通り地中海に出る計画に変更しました。(そ

 の時代には水路として繋がっていると信じられていました。)


 ティレニア海を南下しイオニア海へ向かったアルゴ船は、イアソンとメディアによる弟殺しに怒ったゼウスが逆風を吹き進めなくなった時、船首にある像

 が突然しゃべり始めました。「イアソンとメディアによる弟アプシュルトス殺しの罪を魔女キルケによって浄化しないと風は収まらない。」と告げました。

 魔女キルケはアイアイエ島(イタリアのチルチェーオ岬)に住み、コルキスのアイエテス王の妹になります。イアソンとメディアによる弟アプシュルトス

 殺しの罪を浄化してもらい、アルゴ船は再び出航することができました。


 シチリア島に近づいたとき、セイレーン達の居る岩場あたり(エオリエ諸島?)アンテモエッサ島を通過しようとしていました。セイレーンは上半身が人

 間の女性の姿で、下半身は鳥の姿した怪物で、諸説ありますがペルセポネに仕える精霊であったが、ハデスにペルセポネが連れ去られたときに怪鳥に姿を

 変えられ、2人、3人、4人説があります。セイレーン達は岩場から美しい歌声で船乗り達を惑わし、歌声を聞いた船乗りは海に飛び込んで死んでしまい、

 その死体は島に上げられ山になっていたといいます。アルゴ船も島に近づくと、美しい歌声が聞こえてきましたが、オルフェウスは竪琴で対抗しました。

 しかし、ブテスは歌声に魅せられてしまい、海に飛び込んでいき泳ぎ去りました。そこで女神アフロディーテはブテスを救い、シチリア島西端のリリュ

 バイオンに連れて行き、2人の間に息子エリュオンが生まれたそうです。


 アルゴ船はメッシーナ海峡にさしかかった。メッシーナ海峡には、カリュブディスとスキュラという2体の怪物がいました。カリュブディスはポセイドン

 の娘であったが大変な大食家であり、ゲリュオンの牛(ヘルクレス座の神話ヘラクレスの12の功業10番目参照)を盗んで食べてしまい、ゼウスの罰で

 怪物に変えられ、メッシーナ海峡で渦潮の怪物となり、1日3回大きな音を立てながら海の水ごと飲み込に吐き出したと言われ、通りかかる船を襲った。

 スキュラは島に住む美しい女性でしたが、魔女キルケの恋敵であったため、魔法の薬で上半身は人間、下半身は魚、腹部からは犬の頭6体と犬の足12本と

 いう姿にかえられ、性格まで怪物にされてしまい、通りかかる船の船員を6体の犬が1人づつ計6人食べたとされ、船が通過する難所を正妻ヘーラの手助け

 で無事通過しました。さらに行く手には噴煙を上げる浮島がありましたが、こちらも無事通過できました。


 アルゴ船は、ギリシャ西部にあるパイアキア人のケルキラ島に到着しました。しかし、軍勢の追っ手がケルキラのアルキノオス王に、メディアを引き渡す

 ように要求しました。アルキノオス王は、メディアがイアソンと契りを交わしていなければ国へ返すとして、先に王妃アレテーは、機転をきかせて2人を

 契らせていました。そして、無事メディアを連れて出航したアルゴ船は、9日もの間嵐に合い、アフリカのリビア国シュルティスに漂着しました。シュル

 ティスは浅瀬の難所で、ポセイドンの妻リビュエー(リビアの語源)は、アルゴ船の船員達に母親の懐妊時の苦労に感謝するため、船を陸路で運ぶように

 言いました。アルゴタイナイは船を12日間担ぎ、砂漠で喉の渇きに絶えながらチェニジアのトリトニス湖まで運び、そこで海神トリトンと出会いました。

 トリトンは都キュレネを領土にすることを約束させ、その土をアルゴタイナイに与え、海までの道しるべを示しました。


 アルゴ船はギリシャ南部のクレタ島に到着しようとした時、鍛冶の神ヘパイトスがミノス王に授けた青銅人である島の番人タロスが石を投げて攻撃してき

 ました。タロスは首から足のかかとまで1本の血管しか無く、中には神血が流れており、青銅の釘でかかとの血管を塞いであります。メディアは魔法の薬

 で狂わせて、かかとの釘を抜いて殺しました。クレタ島を出航したアルゴ船は、夜中に霧と嵐で現在位置が分からなくなってしまいました。アルゴタイナ

 イはアポロンに祈り、アポロンは海中に矢を射って稲妻を呼び、闇夜の中に稲妻の光で浮かび上がった島に寄港し、その島にアナプトー(輝く火を付ける

 意味で現在のアナフィ島)と言う名前をつけました。そして、アポロン・アイグレーテス(輝けるアポロン)の祭壇を建てて、供物を捧げたそうです。

 出航してまもなく、エウペモスは夢を見ました。土から生まれた女性と交わり、女性はトリトンの娘だと言い、あなたの子孫が地上で住めるように、海の

 精霊ネレイデスの元へ土を投げ込んで欲しいと言われました。トリトンから授かった土を海に投げ込むと、深海から島が浮かび上がってきて、もっとも美

 しいと言う意味のカリステ島(現在のサントリーニ島)と名付けました。そしてエウペモスの末裔が住んだそうです。

 アルゴ船はアテナ南部のアイギーナ島に寄港して、水汲み競争をしてエウボイア島(ギリシャ東部の大きな島)と本土ロクリスの間を北上してイオルコス

 に到着して、アルゴ船はこの長い冒険を終えました。

 これ以降のお話は「コップ座」参照。

 



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