ヘルクレス座  Hercules  見やすい季節 夏



 撮影日:2013年05月05日 23h35m03s 

 赤道義:ビクセンGPD

 カメラ:キャノン 5D-MarkU(ISO800)

 レンズ:ニコン28mmF1.4(絞り2.8)

 フィルター:なし

 露出:5分×5枚
 総露出:25分

 撮影地:奈良県大塔町龍神天体観測所第3観測所

 
 ヘルクレス座の星座絵

 ステラナビゲータVer.10/(株)アストロアーツ
 の星座絵をコピーにて使用しています。
 ヘルクレス座の星座境界線+明るい星雲星団

 ステラナビゲータVer.10/(株)アストロアーツ
 の星座絵をコピーにて使用しています。

 M13 球状星団

 撮影日:2013年05月06日 00h44m06s 

 望遠鏡:セレストロンC-14EXPT
    (アランジー使用 fl=2270mm)

 カメラ:SBIG ST-10XME

 フィルター:ASTRODON E-Series LRGB

 露出:L:1分×30枚 R:1分×5枚 G:1分×5枚 B:1分×5枚
 総露出:45分

 撮影地:奈良県大塔町龍神天体観測所第2観測所
 M92 球状星団

 撮影日:年月日
         hms 

 望遠鏡:

 カメラ:ニコンF3

 フィルム:

 露出:

 撮影地:

  ヘルクレス座の見つけ方

  ヘルクレス座は

 ぜひのよく晴れた夜に探してみてください。


  ヘルクレス座の神話(諸説あり)

  ヘルクレス座の神話はたくさんあります。まず、誕生神話から始まります。

 英雄ペルセウスとアンドロメダ姫(ペルセウス座又はアンドロメダ座参照)の子供に、エレクトリュオンとアルカイオス、ステネロスとメストールやヘレ

 イオスなどがいました。

 アルカイオスとペロプスの娘アステュダメイア(諸説あり)の子供に、息子アムピトリュオンと娘アナクソーがおり、後にミュケーナイ(県都ナフプリオ

 ンの15km北)の王となるエレクトリュオンとアナクソーが結婚して、娘アルクメネが誕生しました。


 メストールの娘ヒッポトエと海神ポセイドンの子供プテレラオスは、ギリシャ西部のエキナデス諸島(アルゴ船神話でハルピュイアを捕らえた場所)の王

 となり、エウエレスなど7人の子供がいました。プテレラオスは父ポセイドンから黄金の髪の毛1本を授かり、不死になりました。

 プテレラオスと子供達は、伯父のエレクトリュオン王の元へ行き、先祖の土地を返してくれるように頼みましたが断られ、怒ったプテレラオス達は、王の

 牝牛の群れを奪おうとして戦いになりました。互いに多くの犠牲者が出て、エレクトリュオン王と愛人でプリギュアのミデアとの子リキュムニオスが生き

 残り、プテレラオスもエウエレスだけが生き残った。エレクトリュオンは息子達の仇を討つため追撃の準備をしていると、奪われた牝牛の群れを甥のアム

 ピトリュオンが取り返して帰ってきました。遠征の間、アムピトリュオンに娘アルクメネを託そうとしましたが、牝牛の1匹が暴れだし暴走したので、ア

 ムピトリュオンは暴れ牛に棍棒を投げました。しかし角に当たり、跳ね返った棍棒がエレクトリュオンに当たって死んでしまいました。

 そこで、叔父のステネロスはアムピトリュオンに追放を命じ、異母姉弟のアルクメネとリキュムニオスも従い、テーバイ(現在のティーヴァ)に行きまし

 た。


 テーバイに到着したアムピトリュオンは、アルクメネに結婚を申し込んだが、兄弟の仇を討ったくれれば承諾すると約束しました。アムピトリュオンは軍

 勢を率いてプテレラオスを追い、プテレラオスと戦いますが不死身であったため決着がつきませんでした。しかし、プテレラオスの娘コマイトがアムピト

 リュオンに恋をしてしまい、アムピトリュオンを助けるために父の黄金の髪の毛を抜き、プテレラオスは敗れてしまいます。アムピトリュオンは父を裏切

 ったコマイトも殺し、占領した島々を戦友のケパロスと叔父ヘレイオスに授け、テーバイへの帰路に就きました。


 大神ゼウスはアルクメネにいいよったが断られ、アムピトリュオンがテーバイに到着する前夜に、ゼウスがアムピトリュオンに化けて、夜の長さを3倍に

 してアルクメネの元へ行き、プテレラオスとの戦いで勝利したことについて話し、1夜を共に過ごして思いを遂げました。

 アムピトリュオンがテーバイに到着してアルクメネに勝利の報告しても、昨夜聞いたことと同じことを言っていると思い、特に驚く様子を見せなかった。

 不思議に思ったアムピトリュオンは、テーバイの予言者ティレシアスに尋ねると、到着前夜の話を聞かせ、アルクメネは神の子供を宿しているといいまし

 た。そして、アルクメネは神の子とアムピトリュオンの子を身ごもりました。


 アルクメネが出産を迎えたとき、ゼウスはペルセウスの子孫で、最初に生まれてくる子をミュケーナイの王にすると神々に宣言しました。嫉妬していたゼ

 ウスの正妻ヘーラが、娘である出産の女神エイレイテュイアを説得して産期を遅らせ、その間にステネロスとペロプスの娘ニキッペの子供を先に生ませよ

 うとして、7ヶ月でエウリュステウスを出産させました。腹立たしいゼウスは、助言した愚行の女神アーテーの頭を掴み、地上へ放り投げてしまいました。

 後にアーテーが地上のイリオスに暮らしたために、人々は愚行な行動をするようになったといわれています。

 女神エイレイテュイアが立ち会わないと出産できないので、アルクメネは産気づいてから7日間陣痛で苦しんでいましたが、侍女ガランティスが祭壇で指

 を組んで呪いをかけ、出産を妨げているエイレイテュイアの姿を見かけ、機転をきかせたガランティスが、無事に子供が生まれましたと大声で叫びました。

 そんなはずはないと思い、指を解き慌てて駆けつけたエイレイテュイアがアルクメネの元へ来たので、アルクメネはゼウスの子アルケイデス(父の名から

 名付け、後にヘラクレスと改名する)を出産し、次の夜にアムピトリュオンの子イピクレスを出産しました。

 ガランティスが騙されたエイレイテュイアを見て笑ったので、エイレイテュイアは怒って、ガランティスを奇妙な出産をするといわれるイタチ(古代ギリ

 シャ語でガレ=ガランティスが語源)に変えてしまいました。(ヘラクレスはガランティスに感謝し、テーバイの人々はヘラクレスのお祭りのときは、先

 にガランティスを祭るそうです。)

 ゼウスは我が子に不死の力を与えるため、正妻ヘーラの乳を飲ませようと吸わせると、吸う力が強すぎて痛みで目覚めたヘーラが突き飛ばし、飛び散った

 母乳が天の川(Milky Way=乳の環)となったそうです。無事に生まれたアルケイデスを好く思っていなかったヘーラは、毒蛇をアルケイデス達の揺り籠に

 放ち、驚いた侍女達が大声でアムピトリュオンを呼んでいる間に、毒蛇をアルケイデスは絞め殺した。

 アムピトリュオンはどちらかが自分の子で、もう1人が神の子だと思い、揺り籠の中に蛇を放り込みました。そしたら、イピクレスは逃げ出しアルケイデ

 スは蛇を絞め殺しました。アムピトリュオンはイピクレスが自分の子供だと知りました。


 成長したアルケイデスは義父のアムピトリュオンからは戦車の扱い方を、ヘルメスの息子アウトリュコスからはレスリング、エウリュトスからは弓術、カ

 ストル(ふたご座)からは武器の扱いを、リノスからは竪琴の扱いを学んだが、殴られたため竪琴で殴り殺してしまった。

 その後、ケンタウロス族のケイロン(いて座)に武術を教わり、比類なき勇者に成長していきました。そして、キタイロン山(1409m)に住むライオン

 を退治して、その皮をかぶった姿で戦うようになった。


 義父アムピトリュオンと共に戦い、戦果を挙げました。そして、テーバイのクレオン王の娘メガラを妻とし、3人の子供を授かりました。しかし、ヘーラ

 の呪いで狂気に囚われ、我が子と義弟イピクレスの子供を火の中に放り込んで殺してしまいました。このことを知ったメガラも自殺してしまいます。

 正気に戻ったアルケイデスは罪を償うために、世界の中心とされたデルポイにいるアポロンに神託を受けに行きました。デルポイの神託により、アルケイ

 デスより先に生まれてミュケーナイ王になった「エウリュステウスに仕え、10の勤めを果たせ」というものでした。

 ミュケーナイのティリンスに住み始めたアルケイデスは、デルポイの巫女より「ヘーラの栄光」という意味のヘラクレスと呼んでいたので、ヘラクレスと

 名乗るようになりました。


  
ヘラクレスの12の功業の1番目、ネメアの獅子。

 ヘルクレスはミュケーナイのエウリュステウス王の命令で、ネメアの谷に住む恐ろしい怪物の獅子を退治することになりました。

 化け獅子は人や家畜を襲って食べる凶暴さで、刃物は通用しません。ヘラクレスは棍棒を振り回して戦いました。激闘の末、化け獅子の隙をみてヘラクレ

 スはその太い腕で獅子の首を絞めました。暴れる獅子を押さえ込み、3日間締め続けました。ようやく息絶えた獅子の皮を剥ぎ取り、頭からかぶって王の

 元へと帰りました。それを見たエウリュステウス王はヘラクレスを恐れ、町の中へ入ることを禁止してしまいました。

 以後、獲物は城外に置かせ、エウリュステウス王は真鍮の大きな甕の中に逃げ込み、ヘラクレスと面会せず、次の伝令にコプレウスを使わせました。

 この化け獅子も「しし座」として天に上げられ、ヘラクレス座が上ってくると、追われるように西の空に逃げて行くようになりました。

 諸説ありますが、怪物王テュポーンと上半身は美女、下半身は蛇で、背中には羽がある姿の怪物エキドナの子供がこの獅子であると言われています。


  
ヘラクレスの12の功業の2番目、レルネのヒドラ。

 ヘルクレスは、レルネに住む恐ろしい怪物ヒドラを退治することになりました。ヒドラとは首が9本もある化け蛇で、首を切るとそこから2本生えてきま

 した。しかも頭ひとつは不死でした。苦戦をしいられていたときに、ゼウスの正妻ヘーラがヘラクレスを憎んでいたので、お化け蟹を刺客として送り込み

 ました。しかし、ヘラクレスにあっけなくお化け蟹を踏み潰してしまいます。

 ヘラクレスの異父兄弟イピクレスとアウトメドゥーサの子イオラオスが、ヘラクレスが切ったヒドラの首の切り口を、松明の火で焼きました。すると首は

 再生しなくなり、不死の頭だけになったので、大きな岩の下敷きにして、ヒドラを退治することができました。

 しかし、エウリュステウス王は、ヘラクレスが手助けされて退治したので、功業は未達成として、新たに1つの試練を追加しました。

 ヘーラはヒドラとお化け蟹を哀れに思い、星座にしました。ヒドラは「うみへび座」・お化け蟹は「かに座」として天に上げられ、ヘラクレス

 座が上ってくると、追われるように西の空に逃げて行くようになりました。


  
ヘラクレスの12の功業の3番目、ケリュネイアの鹿。

 アルテミスの聖獣で黄金の角と青銅の蹄を持つ巨大な雌鹿は、5頭のうちの4頭はアルテミスがリュカイオン山にて捕獲して戦車を牽かせていましたが、

 残り1頭が矢よりも速く逃げるので、狩猟の女神アルテミスでも捕まりませんでした。そこで、ヘーラの策略で、この鹿をケリュネイアに放ち、エウリュ

 ステウス王は、ヘラクレスに生け捕りにするようにいいました。アルテミスの聖獣を捕まえることで、アルテミスを激怒させてヘラクレスを負かす計画で

 す。ヘラクレスは1年間追い続け、やっと川で水を飲んでいる雌鹿を見つけました。その雌鹿の脚にヒドラの毒を塗った矢を放ちました。そして見事捕ら

 えることができました。エウリュステウス王の元へ急ぐ途中にアルテミスと兄アポロンに遭遇し、聖獣が殺されていることに激怒しましたが、アポロンの

 神託により、エウリュステウス王の難題な功業をしていることと、雌鹿は生きていること、必ずアルテミスに雌鹿を返すことを約束し、ヘラクレスは無事

 試練を終了しました。


  
ヘラクレスの12の功業の4番目、エリュマントスの猪。

 ギリシャのペロポネソス半島、アルカディア地方の荒れた山岳にあるエリュマントス山にいるお化け猪は、人を襲って田畑を荒らしていたので、人々から

 恐れられていました。アルテミスが放ったとされるその大猪を生け捕りにするため、エリュマントス山に向かう途中のポロエーにある洞窟で、ケイローン

 と同じ出生の野蛮でないケンタウロス族のポロスと出会いました。ポロスとのお話はケンタウロス座の神話参照。

 その後、エリュマントスの大猪を難なく生け捕りにしました。


  
ヘラクレスの12の功業の5番目、アウゲイアスの家畜小屋。

 エウリュステウスは、ギリシャのペロポネソス半島北西部にあるエーリスの王アウゲイアスの家畜小屋を1日で掃除するようを言いつけました。アウゲイ

 アスはアルゴタイナイ(アルゴ座の神話参照)の1人です。アウゲイアスの牛小屋には黒牛や赤牛、父ヘリオスの聖獣である白銀の牛などもの凄い数の牛

 がおり、なんと30年間掃除をしたことがないという。牛の糞は硬くかたまり、想像を超える量でしたので、1年掛っても無理だと思いました。しかし、ヘ

 ラクレスには奇策がありました。そこで、アウゲイアス王にはエウリュステウスの命令だとは言わず、この牛小屋を1日で掃除できたら、牛の1割を貰い

 たいと申し出ました。アウゲイアス王はそんなことは不可能と思い、息子ピュレウスを証人として約束しました。そして、ヘラクレスは牛を木が生い茂っ

 た山の方へ追いやり逃げれないようにした後、近くのエーリス最大の河川アルペイオス川とペーネイオス川の流れを、アテナの剣を使って水路を牛小屋の

 所まで作りました。すると、川の水が轟音と共に牛小屋の汚れを洗い流してしまいました。水路を塞ぎ、牛をもどしてアウゲイアス王に報告しました。

 しかしアウゲイアス王は、エウリュステウスの命令だったと知り、約束は無効だとして約束を果たそうとしませんでした。しかも、息子ピュレウスが父に

 証人として約束を守るように助言すると、息子とヘラクレスを追放してしまいました。

 エウリュステウスは、ヘラクレスが報酬を要求したとして、試練を未達成として、新たに1つの試練を追加しました。

 後に、ヘラクレスはエーリスに侵攻して、アウゲイアス王を殺してしまいます。

 参考までに、第1回古代オリンピックは、エーリス地方のオリンピアで開催されました。


  
ヘラクレスの12の功業の6番目、ステュムパーリデスの鳥。

 ギリシャのペロポネソス半島のステュムパーロス湖畔の森に住んでいる怪鳥ステュムパーリデスを退治する試練。軍神アレスのペットであったが、人里で

 田畑に有毒の糞を撒き散らし、人々を襲った。翼の先が青銅でできており、集団で生息していました。

 そこで、アテナとヘパイトスに頼み、サイクロプスをおこすための青銅でできた鳥威しを借りて、とてつもなく大きな音を立てて、怪鳥達を飛び立たせま

 した。驚いて飛び立った怪鳥を、ヘラクレスはヒドラの毒矢で射殺していきました。そして、一部の怪鳥は飛び去り、2度と戻って来なかったといいます。

 この後、アルゴ船の冒険では、ステュムパーリデスはアレス島に棲みついていることになっています。

 ギリシャの銀貨オボルスに、ステュムパーリデスの鳥が描かれています。

 また、ステュムパーリデスの鳥が、こと座のベガ(落ちるハゲワシ)と、わし座のアルタイル(飛ぶハゲワシ)だと言われています。個人的には、はくち

 ょう座も?と思ってしまいますが。


  
ヘラクレスの12の功業の7番目、クレータの牡牛。

 クレタ島ミノス王に海神ポセイドンが授けた白銀の牡牛(かんむり座の神話参照)を生け捕りにする試練。ミノス王に協力を求めたが拒否され、1人で牡

 牛と格闘して、生け捕りにしました。エウリュステウスのところへ連れて行き、その後放しました。以後テセウスにより退治されます。(コップ座の神話

 参照)


  
ヘラクレスの12の功業の8番目、ディオメデスの人食い馬

 軍神アレスの息子でトラキア(ブルガリアとトルコの国境付近)の王ディオメデスが飼っていた巨大な馬で、旅人を捕まえては食べさせていました。

 ヘラクレスはディオメデスを殺し、その馬に食べさせました。馬を生け捕りにすると、急に大人しくなり、エウリュステウスに見せた後逃がしましたが

 獣達に食い殺されたと言われています。


  
ヘラクレスの12の功業の9番目、アマゾーン女王の腰帯。

 エウリュステウスは、ヘラクレスにアマゾーン(アマゾネス)の女王ヒッポリュテーが持つ、父軍神アレスから授かった腰帯を取ってくることを試練とし

 た。アマゾーンは女性のみの騎乗戦闘部族で、黒海東岸辺りに住んでいました。

 ヘラクレスは激しい戦いになると思い、勇者たちを引き連れてアマゾーンの国へ侵攻しましたが、女性相手に戦うことにためらっていました。そこで、事

 情を説明してみることにしました。すると、女王ヒッポリュテーは、強靭な肉体を持つヘラクレスたちを見て、強い子孫を残す条件で腰帯を渡す約束をし

 ました。それを好く思わなかった正妻ヘーラが、アマゾネースの1人に変身して、ヘラクレスが女王を拉致しようとしていると嘘を言いふらしました。

 騙されたアマゾネースたちは、ヘラクレスに襲い掛かり、ヘラクレスは謀られたと思い、女王ヒッポリュテーに責めよりましたが、女王は身に覚えがない

 と釈明してもヘラクレスは聞き入れずに、女王を殴り殺して腰帯を奪い去ってしまいます。しかし、冷静になって、女王が嘘を言っているようには思えな

 かったことに気付き、酷く嘆いたそうです。


  
ヘラクレスの12の功業の10番目、ゲーリュオンの牛。

 メデューサがペルセウスによって首を切られて退治された時、海神ポセイドンの子供を身ごもっていたメデューサの血の中からは、天馬ペーガソスとクリ

 ュサオル(黄金の剣を持つ者)という怪物が同時に生まれました。そのクリュサオルの息子で、頭が3つ腕が6本という姿の怪物ゲーリュオンの紅い牛を

 奪ってくるという試練。

 ゲーリュオンは大洋神オケアノスがいる遥か彼方の海にあるエリュティア島に住んで、牛を飼っていました。普通では到達できない場所にあり、ヘラクレ

 スもアフリカのリビアまで来ましたが、海神ポセイドンの息子で巨神アンタイオスが屈強そうな旅人と勝負しては殺していました。ヘラクレスも勝負を申

 しこまれ戦い始めましたが、無限に強まる力と能力に苦戦していました。しかし、地面に足が着いているときだけ無敵だと気付き、地面から離して持ち上

 げたまま絞め殺しました。そして、砂漠ではあまりの暑さに怒り、太陽神ヘリオスに弓矢を射掛けました。ヘリオスは怒るどころか、ヘラクレスの気迫に

 喜して、黄金の杯を授けて、それに乗って大洋オケアノスを進み、エリュティア島にたどり着くことができました。

 牛の番をしているのは、地獄の番犬ケルロベロスの弟、双頭の黒犬オルトロスで、ヘラクレスが近づいて来たので、ヘラクレスに襲いかかりましたが、棍

 棒で殴り殺されてしまいました。そして、牛飼いの番人エウリュティオンも殺されてしまいました。これを見ていた別の番人メノイテスが、ゲーリュオン

 に報告して、牛を奪ったヘラクレスをゲーリュオンが追いかけてきましたが、毒の弓矢1本で射殺してしまいました。

 牛を連れてギリシャに戻る途中に、スペインとモロッコの間にあるアトラス山脈の山越えが嫌で、近道しようと思い、棍棒で山脈を叩きました。すると、

 山が吹き飛んだだけではなく、地面までえぐれて海峡となってしまいました。しかし、広がり過ぎた海峡では、地中海に大洋からたくさんの怪物が入って

 来るので、大陸を引っ張り、狭めたといわれています。それが、現在のジブラルタル海峡で、両側のアトラス山脈をヘラクレスノ柱と呼びます。


  
ヘラクレスの12の功業の11番目、ヘスペリデスの黄金の林檎。

 ヘスペリデスとはアトラスの娘達のことで、世界の西の果てにあるとされる果樹園「ヘスペリデスの果樹園」に住んでいる。ゼウスとヘーラの結婚祝いに

 ガイアが贈った黄金の林檎の木を、ヘーラがヘスペリデスに世話をさせていました。しかし、ゼウスが恋した女性の気を引くためのプレゼントに使ってい

 たために、ヘーラがアトラス山脈の山頂に見つからないように移しました。また、ヘスペリデスが林檎を盗んでいるところを見たヘーラは、今度は百の頭

 を持つ竜ラドンに見張りをさせました。

 エウリュステウスはこの黄金の林檎をヘラクレスに取ってくるように言いました。ヘスペリデスの果樹園の場所を知らないヘルクレスは、まず、ゼウスと

 第2の妻テミスの娘の精霊ニュンペーからの情報で、エーゲ海に住む内海の神ネーレウスと格闘してとっ捕まえました。しかし、色々なものに変身して逃

 げようとしましたが、ヘラクレスは離しませんでした。ネーレウスは仕方なくヘスペリデスの果樹園の場所を教えました。そして、ヘラクレスはヘスペリ

 デスの果樹園の黄金の林檎の木のところまで来ると、ラドンが口から火を噴き眠ることなく黄金の林檎の木を守っていました。ヘラクレスは近くにあった

 蜂の巣を口の中に放り込んで、口の中を刺されたラドンを倒すことができました。ラドンは黄金の林檎の木を守った功績で、ヘーラにより「りゅう座」と

 して星座になりました。ラドンの弟がヒドラ(うみへび座)(12の功業の2番目の冒険)です。

 黄金の林檎を持ち帰ったヘラクレスは、エウリュステウスに渡しましたが、すぐにヘラクレスに返しました。ヘーラの林檎を持つと、ヘーラによる天罰が

 あり、ヘラクレスもアテネに頼んでヘスペリデスの果樹園に返して貰いました。

 
別の神話があります

 アトラスはタイタン族の巨人で、ゼウスとタイタン族の戦いで大敗し、アトラス以外は冥界の下、底なしの大穴タルタロスに閉じ込められました。

 ゼウスはアトラスが余りにも大きいので、世界の西の果てで天空を支えることを命じました。アトラスは肩と頭で天空を支え続けましたが、大変な苦痛で

 した。

 ある時、ヘラクレスがアトラスを訪ねて来ました。(や座の神話参照)12の功業の11番目の冒険で、アトラスの娘達ヘスペリデスが住む果実園にある

 黄金の林檎を取りに行こうとするのですが、場所すら分かりません。果樹園の3姉妹の父アトラスに話をすると「私が取ってきてあげよう。しかしその間、

 天空を支えるのを代わって欲しい」と頼み、ヘラクレスが代わっていると、アトラスは林檎を取って持って帰ってきました。しかし、もうあの苦痛はした

 くなく、ヘラクレスにこのまま代わって貰おうと思い「私が代わりに林檎を届けよう」と言いだしました。ヘラクレスはとんでもないと思ったが、平然と

 了承しました。そのうえで、アトラスに楽に持てるコツを教えて欲しいとお願いしました。アトラスが自慢げに見本をみせようと天を持ち上げると、ヘラ

 クレスは黄金の林檎を持って立ち去っていきました。

 その後、別の神話(ペルセウスの神話参照)のお話が続きます。メドゥーサ退治を終えたペルセウスが、アトラスの近くに立ち寄った時、アトラスは余り

 にも苦痛なのペルセウスに助けて欲しいと言うと、ペルセウスは石にならできると言い、お願いしてメドゥーサの首を見せてもらいました。石となったア

 トラスはアフリカ北部モロッコとスペイン辺りの山脈で、標高4167mのアトラス山脈となったそうです。


  
ヘラクレスの12の功業の12番目、地獄の番犬ケルベロス。

 エウリュステウスは、ヘラクレスに最後の試練を命じました。冥界の番犬ケルベロスを生け捕りにすること。ケルベロスは3つの頭を持ち、竜のたてがみ

 と蛇の尻尾を持つ巨大な犬の姿をしていました。ヘラクレスは冥界に行き、冥王ハデスにケルベロスを貸して欲しいと言い、「絶対に傷つけない」と約束

 して了承を得て地上に連れて行きました。太陽の光を見たことがないので、太陽に吠えたケルベロスの口から飛び散ったヨダレが地上に落ちたところから、

 毒草トリカブトが生えてきたそうです。

 ヘルクレスが冥界でケルベロスを借りて地上へ戻る時に、テセウスとペイリトオスが忘却の椅子に座っており、声も出ぬまま助けを求めていました。昔、

 テセウスとペイリトオスが花嫁探しで、至上の美人といわれたゼウスの娘ヘレネを誘拐して、くじで勝った方が妻とし、負けた方の妻を2人で探すと約束

 したが、誘拐したヘレネが12歳だったのと天罰が怖くなり、自分の母に預けたが母は捕虜として捕まってしまった。2人約束でもう1人を探すのに、ゼウ

 スの神託に尋ねると、ゼウスの娘で冥王ハデスの妻ペルセポネを妻にしろと、狂気かと思うほどの神託に従い、冥界に行きました。ハデスは2人を歓迎し

 て招きいれ、忘却の椅子に座らせて、全ての記憶を奪い去りました。その4年後に、ヘルクレスが2人見つけることになったのでした。。諸説あり、2人

 助けた、テセウスだけしか助けられなかった、2人助けられなかったなどがあり、そうするとアルゴ船の冒険には2人は参加できないことになります。

 これでヘラクレスの12の功業は達成されて、ヘラクレスは晴れて自由の身になりました。


 
それからまだまだヘラクレスの冒険は続きます。


 アルゴ船の冒険のきっかけになったイオルコスの王ペリアスは、娘アルケスティスの求婚者を選ぶのに、獅子と猪を戦車に繋いだ者としていたので、元イ

 オルコス王アイソンの甥アドメトスがアポロンの力を借りて(へびつかい座の神話参照)、獅子と猪を繋いだ戦車を譲り受け、王の前を走らせて見せた。

 約束通りアルケスティスと結婚することができたのですが、アルテミスに生け贄を捧げることを忘れてしまいました。そして、寝室の扉を開いたら、たく

 さんの蛇がとぐろを巻いていました。アポロンはアルテミスに捧げ物をするようにアドメトスに言いました。そして、神託によりアドメトスは早死にする

 というお告げがあり、アポロンがモイライにお酒をすすめて、アドメトスが死ぬときに、彼の代わりに喜んで死ぬ者がいれば、アドメトスを助けて欲しい

 と無理やり約束させました。彼が死ぬときに両親は死を拒み、妻アルケスティスは喜んで夫のために死を選びました。アドメトスは助かりましたが、そこ

 で、ヘラクレスが冥界へ行き、冥王ハデスと戦ってアルケスティスを取り返してきました。


 また、巨人ギガンテスとオリュンポスの神々による宇宙の存亡を賭けた大戦争が勃発しました。巨人に勝つには、人間の力が必要と神託を受けていたので

 ヘラクレスに加勢してもらい、神々が弱らせたギガンテス達を、毒矢と怪力で次々と仕留めていきました。この戦争をギガントマキアといい、オリュンポ

 スの圧勝で終りました。怒りが収まらないガイアはゼウスを倒すために怪物王テュポーンを産んだとされています。


 カリュドン王オイネウスの娘デイアネイラにヘルクレスが求婚したときに、同じく求婚していた大洋神オケアノスの息子で河神アケローオスと争いになっ

 た。アケローオスは上半身が人間で、下半身は細長い魚、頭には牡牛の角を持ち、何にでも変身できる能力でヘラクレスを翻弄していましたが、牡牛の姿

 のときヘラクレスに角を折られて、降参してしまいます。ギリシャ最大の河、アケロス川へ逃げ帰りましたが、春になると怒りがこみ上げてきて、川を氾

 濫させるようになったと言われています。

 ようやくデイアネイラを妻にすることができ、息子ヒュロスも授かり、家族で移動しているときに大きな川を渡るのに、ケンタウロス族のネッソスがデイ

 アネイラを乗せて川を渡ると申し出たので頼みました。ヘラクレスが息子を担いでいると、ネッソスはデイアネイラに犯そうと襲い掛かりました。ヘラク

 レスは弓でネッソスを射殺してしまいます。ネッソスは死ぬ間際に、デイアネイラにヘラクレスの愛情を自分に向けたければ、私の血が媚薬になるので、

 服に塗ってヘラクレスに使うが良いと言い残しました。

 オイカリアの王エウリュトスの娘イオレはとても美しい女性でしたが、父が結婚させたくなかったので、息子達に弓競技で勝利した者の妻とするといい、

 ヘラクラスが突然やって来て勝利してしまいました。ヘラクレスが狂気で子供を殺し、妻も死なせたことを繰り返すと思い、王は結婚に反対しました。

 この時、ヘラクレスの師であるアウトリュコスは、エウリュトス王の牛を盗んでいて、ヘラクレスにその牛を売りつけていました。

 エウリュトス王はヘラクレスが牛を盗んだと思いましたが、息子のイピトスがヘラクレスに話をしに行くと言ってヘラクレスの元に行きました。しかし、

 ヘラクレスはまた呪いで狂気となり、イピトスを城壁から投げ落とし殺してしまいます。自分の狂気に悩んだヘラクレスは、デルポイの神託を受けようと

 思いましたが、巫女(シビュラ)が神託を与えなかったのでこれに怒り、神殿で暴れて祭壇を持って帰りました。そして、自分用の神託所を建てようとし

 ましたが、アポロンと争うことになりました。この争いに怒ったゼウスが、雷霆を放って仲裁しました。そして、ヘラクレスが受けた神託は、「3年間奴

 隷として奉公し、その後エウリュトス王に息子の代価を払え」と言うことでした。ヘルメスはヘルクレスをリュディア(トルコ北部)のオムパレ女王に奴

 隷として売りました。

 この奴隷の間にアルゴ船の冒険(アルゴ船座の神話参照)にも参加しています。

 ミノス王の娘アイアドネは、ダイダロスにお願いしてテセウスを助けてもらいます(カンムリ座の神話参照)。怒ったミノス王は、ダイダロスと息子のイ

 カロスと共に迷宮ラビュリントスに幽閉しましたが、親子は鳥の羽根を蝋で固めて羽を作り、窓から飛び立ちました。ダイダロスは息子に高く飛ばないよ

 うに言いましたが、言うことを聞かず太陽に近づき過ぎて蝋が溶けて、墜落して死んでしまいました。その死体がドリケ島の海岸に流されていたのを、ヘ

 ラクレスが発見し、手厚く葬りました。感謝したダイダロスはそこにヘラクレスの像を建てましたが、夜にイカロスが立っているように見えたので、石を

 投げて壊してしまいました。


 後に、ヘラクレスはオイカリアに侵攻してエウリュトス王と息子達を殺して、王女イオレを捕虜とした。そして、帰国の途中の岬で、ゼウスに祭祀するた

 めの服をリカスに取りに行かせました。美しいイオレを捕虜にした経緯をリカスは妻に話したため、夫の愛情が心配になり、媚薬の血を塗った服をリカス

 に渡しました。そして、服を着たヘラクレスは猛毒で皮膚が腐っていき、苦しさでリカスを掴んで海に放り投げました。もう助からないと悟ったヘラクレ

 スは、薪を組んで台の上に横になり、薪に火を着けるように言うが、誰もが怖がってしまいましたが、アルゴタウナイの1人ポイアースが火を着けました。

 感謝してポイアースに弓と矢を与え、ヘラクレスは炎に包まれて死んでしまいました。それを聞いた妻デイアネイラも自殺してしまいます。

 死後にヘラクレスはヘーラに認められ、神の座に着き、ヘルクレス座として天空を回っています。

 



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