羽子板星(はごいたぼし) (M45・すばる) Pleiades(プレアデス星団) |
M45 すばる 撮影日:2010年11月6日 00h45m36s 望遠鏡:高橋ε-250C(fl=854mm) カメラ:SBIG STL-11000M C1 フィルター:ASTRODON I-SeriesLRGB 露出:L:50分 R:15分 G:15分 B:15分 総露出:95分 撮影地:奈良県大塔町龍神天体観測所 天文ガイド2011年3月号入選 |
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撮影日:2012年10月15日 02h31m0s 赤道義:ビクセンGPD カメラ:キャノン 5D-MarkU(ISO800) レンズ:ニコン28mmF1.4(絞り2) フィルター:なし 露出:5分×12枚 総露出:60分 撮影地:奈良県大塔町龍神天体観測所第3観測所 |
羽子板星とは、M45(すばる)のことで、日本古来の地方での呼び名です。すばるの星々の並びが羽子板のように 見えることから羽子板星と呼ばれているようです。 おうし座にある散開星団で、都会でも少し条件が良ければ2〜3個の星が見えるくらい明るく、プレアデス星団と呼ば れ、M天体番号45番でM45として有名です。和名では「すばる(昴)」と呼ばれ、古の女流文学者「清少納言」の枕 草子には「星はすばる。ひこぼし。ゆうづつ。よばひ星、すこしをかし。」(星はすばる、ひこぼし、宵の明星(金星) が良い。流れ星も少し趣きがある。)の一文にもすばると言う言葉がでてきて、『最も美しい星』と称賛しました。す ばるとは、統ばる(1つに集まっている)の意味で、万葉集にも玉飾りを繋げた物を「須売流玉」(すまるのたま)と 呼び、青白く集まった星団に古来から関心があり、色々な名前や伝承が生まれたようです。平安時代の「倭名類聚抄」 (わみょうるいじゅしょう)の中に書かれている「須波流」が最古の和名だとされています。世界では鶏やひよこが集 まっているように見ていたところが多いようです。 宇宙にあっては、まだ生まれて8千万年(諸説有り)しかたたない若い星たちの集まり(太陽の寿命は100億年)。し かし寿命も残り半分で、超短命な運命を辿ると言われています。星の周りには星間ガスが青く輝いていますが、すばる を形成したガスではなく、すばるがたまたまオリオン座方向に移動している途中に、おうし座の分子雲に近づき、すば るの強烈な明るさの星々に照らされて輝いているのです。 すばるは140個もの星たちの集まりで(最新の観測で褐色矮星も見つかっていて、1000個以上の星の集団)、青い ガス星雲との共演が作りだす、宝石箱の様なすばらしい天体です。 暗い空では肉眼でも6〜7個の星が見え、スバル車のマークや谷村新司の歌の昴も、ハワイにある日本最大の望遠鏡のニ ックネームもこの星の名前からです。 おうし座の肩付近にあり、秋から冬が見ごろで、東に上ってきた時は、ぎょしゃ座の1等星カペラの右側に見え、おうし 座の1等星アルデバランの下に見えますので、是非探して見てください。 |
プレアデスの神話(諸説あり) |
プレアデスとは、プレイアデスという複数形の呼び名で、タイタン族のアトラス(うしかい座の神話参照)と太洋神オケアノスの娘でニュンペー (精霊)との間に7人の姉妹をもうけ、単一ではプレイアスと言い、7人姉妹を総称してプレイアデスからプレアデスと呼ばれるようになりました。 7人姉妹は、アルカディア地方のキュレネ山で生まれ、異母姉妹にヒュアデスの7人姉妹(ヒヤデス星団)や、ヘスペリデス姉妹(ヘラクレス12の 功業11番目の神話参照)などがいます。プレイアデス姉妹は、長女マイア(ヘルメスの母、水星参照)、エレクトラ、タイゲタ、アルキュオネ、ケ ラエノ、アステローペ、メローペと言われています。 プレイアデス姉妹は大変美しく、狩猟の女神アルテミスの侍女で、マイア、エレクトラ、タイゲタはゼウスの子を、アルキュオネ、ケラエノはポセ イドンの子を、アステローペはアレスの子を、メローペだけは人間のシーシュポスとの間に子をもうけました。 そして、プレイアデス姉妹とヒュアデス姉妹は、ゼウスとテバイ王の娘セメレとの子供でぶどう酒の神デュオニソスの乳母を務め育てた。 父アトラス(うしかい座の神話参照)がゼウスの命令で天を支えるようになると、これを期にオリオン(オリオン座)がプレイアデス7人姉妹を追 いかけ回すようになり、ある時、姉妹を山小屋まで追い詰めたオリオンが扉を開けた時に、ゼウスが7人姉妹を鳩に変えて大空に逃がして、姉妹た ちを天に上げてひと塊の星々にして、プレアデス星団になったそうです。その中のメローペだけは、人間と交じっていたので、ぼんやりして見えて いるとのことですが、大昔にメローペの周りのガスが見えていたことになります。 プレアデス星団となった今でも、オリオン座に追いかけられており、プレアデス星団が東から上ってくると、下からオリオン座が上ってきます。 ヒュアデス姉妹の兄弟ヒュアースは、狩の途中で毒蛇に噛まれて死んでしまい、悲しんだヒュアデス姉妹は自害してしまいます。哀れに思ったゼウ スが、天に上げてヒヤデス星団になったそうです。 |